| 専門医会が主導するテレラジオロジーを. |
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| 杏林大学医学部放射線医学教室 高原太郎 前号の専門医会ニュースで,遠隔医療を主な業務とする企業の広告が掲載されました.遠隔医療の試みをいち早く軌道にのせられた実行力と先見の明は素晴らしく,先駆者の方々には心より敬意を表します.しかし私はこれが企業ベース「のみ」で進むことには深い懸念を抱いております. |
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| バラ色の読影生活?
広告では,読影量は1件1000円です.決して高くはありませんが,死ぬ気で仕事をして,1日100件(10万円)と考えると,10日働けば,月給100万円です.そのほかの20日はハワイで遊んでいてもOKです.つまり,「年俸1200万円+ハワイ」のバラ色生活誕生です.もちろん,思い切ってハワイに住んでもいいでしょうし,50年後なら(往復30分の時差がありますので緊急読影は出来ませんが)火星リゾートに住みながら読影することもできそうです. しかしよく考えてみると,これは相当不利な話です.企業が実際に請負う金額はその2〜3倍です.つまりいわゆるピンハネ率は50%以上になります.だから年俸1200万円ということは,年間1200万円以上の「寄付」を企業にしていることになります.読影医が100人いたら,12億円です.初期にはこの利益の相当部分は先行投資にまわされますから,5〜10年で,企業は個人が全く太刀打ちができない大きな存在になることになります.大企業は,価格決定権を持ちます.当然,将来の単価は急速に低下することになるわけです.実際の火星生活は,蜃気楼の向こうにあるわけです. |
巨大企業により人員シフトした時の影響 皆さんの職場環境を考えてみましょう.もし今より20%人が減ったらどうなるでしょうか?「夏休み体制」と同じですね.これが一年中続くことになります.病院から企業へ人がシフトすることで,放射線科ではマンパワーが保てなくなります. 一般にIVRの分野は「手に職がある」ため安全だと思われていますが,人がいなければ読影に回らざるを得ませんから,この分野においても泣く泣く仕事を他科に明け渡さなければなりません.大学は3K職場になり,研究や教育,高度な臨床応用はできなくなります. |
専門医会が主導して「互助会」的な遠隔医療を行えないか.
紙面の都合があるため人員のことを中心に書きましたが,多くの方が心配しているように,「医の心」とは無関係の論理(例えば価格競争)によって運営されてしまう懸念は本質的な問題です.これらに対抗し得る,医学的なバックボーンの組織が必要だと思います. 専門医会が主導する「互助会」的な遠隔医療システムがあれば,我々は安心して協力することができます.それぞれの機関に所属しながら,1日わずかな件数の読影を多くの専門医で協力して処理するという考え方です.遠隔医療においてはなおざりにされがちな,「不適切な検査に対するコメント」や,「読影結果についてのフィードバック」に関するルールの業界標準を決めることも出来るでしょう.さらに我々の生活に関しても,必要経費のみを差し引いて読影者に還元されますから,「搾取」されることはありません.大企業との価格競争になっても,利潤なしでやれるので,かなりの競争力が保てます. |
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| 以上,すこし強めの意見を申し上げましたが,現在感じている漠然とした不安を正直に述べました.互助会に関する提案は,素人考えですので実現には障害が多いかもしれませんが,想像以上に環境の変化が速いことから,ぜひ議論の土台にしていただければ幸いに存じます. | ||||||||||